忍者ブログ
[49]  [48]  [47]  [46]  [45]  [44]  [43]  [42]  [41]  [40]  [38
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

この現実感のなさとか閉塞感とか、孤独とか、そういうのを救済できるのは愛だと唱えた本でした。

ここは見世物の世界 何から何までつくりもの
でも私を信じてくれたなら すべてが本物になる”

この言葉、冒頭に出てきたときは意味がわからなかったけれど、最後にでてきた瞬間、物語がすべて一本の糸でつながったと思った。リトル・ピープルは「みんな」、マザは「本体」、ドウタは「虚像」。空気さなぎは勝手に誰かがつむぎだした空虚な創造物のことだと思う。だけどその中にドウタ(虚像)が生まれて実際にいる人のように動き出す。

どれも今の世の中に実際に存在しているものたちだ。そしてそれらは現実感のなさを私たちに与えている。

世論調査ってのを私は受けたことがない。電話によるとかってついてるけどそんな電話受け取ったことない。でもなんだかテレビではいろいろな人が意見を言っている。アンケートがとられなんだかどうやら首相への支持率が下がっていることを知らされる。自分が全く関与していない。なのにいつの間にか世論ってやつが勝手に決まってる。
少し前になるけれど、朝青龍が自宅マンションに閉じこもったまま出てこなくなった。たかだか一介の相撲取りがマンションから出てこなくて何がいけないのか、サッカーしたぐらい何がいけないのか、よくわからないが知らない間に物事の良し悪しが決まっている。
決めたのはリトル・ピープルだ。民主主義の多数派ってやつなのかもしれない。リトル・ピープルという名はジョージ・オーウェルの「1984」に出てくる独裁者「ビッグブラザー」の対義するものとしてつけられたそうだ。ジョージ・オーウェルの小説当時、世界を支配していたのは独裁者、現在は民主主義の名の下、リトル・ピープルなるつかみ所のないものがこの世界を支配している。

リトル・ピープルは空気さなぎをつくる。それはたまごのようにゼロから命を吹き込んだものではない。ぐるぐると糸をつむいでいつのまにか出来上がっていく虚像。新聞、テレビ、ネットなど、あふれかえる情報を見ていく中で実際にあったことも話したこともないにもかかわらず、朝青龍=悪童の虚像を私たちはいつの間にか作っていた。日本=覇気がない虚像とかってのも当然あって、そういうマイナスなイメージが流布されていて、それが閉塞感につながっている。

この殺伐とした世界から抜け出すのに必要なのは「愛」なんだと。信じたらすべてが本物になるんだと。「愛」さえあればどんな世界でも生きていけるってそんなこたえのお話でした。
PR
ブログ内検索
忍者ブログ [PR]