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「坂本竜馬が暗殺されなければ日本はもっと違う国になっていたと思う」
という人は多い。
最初に知人からストーリー設定を聞いたときに、この言葉を思い出した。誰が言っていたかは忘れたが、坂本竜馬の死因を知っていたら、現代の脳外科医が江戸時代末期にタイムスリップするという設定が何をねらっているのか思いつくだろう。で、私としてはそのへんがたのしみで最後まで読んでいた。
歴史のたられば。坂本竜馬がもし生きていたら・・・日本はどうなっていたのか。

が、やはり大きな運命には逆らえなかった。というはなし。

「時間というものは、人為的な変更を片端からキャンセルしていくだけの強い力を持っている。」
(村上春樹 「1Q84」)

多分、そう感じている人は多いんだと思う。大きな流れはやはり変えられないのだ。坂本竜馬の生死は世界への影響が大きいのだ。


とまぁ、そんな期待をして読み始めたものの、すっかり作品世界にハマったのは主人公のやることがすべて、第三世界に行った医師がやること、具体的にそういうことなんだという細やかな描写に惹かれたから。私は医者じゃないから本当にそうかはわからないけれど、開発途上国でのボランティアの仕事というのは具体的にいうと仁のやっていることだと思う。
知識はもっている、原理もわかっている、だけど環境がないし道具もない。じゃあ、あるものでどうにかしよう。伝染病の知識が民間になければどうしたら感染を防げるか、指導する。自分ひとりじゃどうにもならないから現地の人の信用と理解を得たうえで協力をお願いする。必要なものがあれば現地の現場の人間に教えて一緒につくる。きっとこれが海外協力の基本なんだと思った。
武士が腹の切開手術に抵抗感があるというのも、なるほど!この時代の感覚だったら確実に盲腸は摘出手術しないって選択する人多いだろね。
相手の目線にあわせて、理解を得ていくにはどうしたらよいかを考える。文化や価値観の違いを乗り越えて知恵を広める。広めることが世の中のためになると思うならば、頭も下げるし命もかける。

ラストで仁がアフリカやアジアの貧困地域に行くという設定ものすごく納得。

竜馬の夢がかなうのも良かった。坂本竜馬がもし暗殺されなかったら船に乗って世界中をめぐっていただろうな。またとない逸材が、結局、生涯一歩も日本を出ることができなかったことが本当に惜しいと現代に生きる私も思うから。
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