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知能産業の価値を明示してお金を稼ぐか。
知能産業を成り立たせるには何が必要か。

「ある広告人の告白」は国際的な大手広告代理店オグルヴィ・アンド・メイザーの創業者の著書。いかにして知恵をお金にかえることを認めさせてきたのかが書かれている(と私は思う)。
「ブランド」は現在、日本の最前線でそういう戦いをしている二人の対談。(だと私は思う)

デイヴィッド・オグルヴィはクライアントに対してうそをつかない。自分の仕事に対して一点の曇りも曖昧さもない仕事、ソリューションを提供して堂々とクライアントに同じ目線でものを言う。賢いクライアントは彼の言葉に耳を傾けるし、賢くないクライアントは彼の元から去っていく。そういうことを勇気を持って堂々とやってのけたから広告をつくるという仕事自体が知能産業として社会的に認められていったのだと思う。おべっかを使ったり下に構えたりしない。提供すべきものを提供して堂々とものを言う。それがプロなんだ。

21世紀は知恵の時代になるんだと思う。単純な計算や事務処理はコンピューターがやってくれる。資料をひたすら集めるのも簡単だ。ただし、集めた資料から的確な情報を取り出して仮説を与えることや、何と何を足して割って計算すれば目的の数値にいたるのかというプロセスを考えることができるのは生身の人間だけだ。

ウェブのソフトを使っていると時々思う。よく人に「そのうちこういうのイラストレーターみたいに誰でも簡単にできるようになるんじゃない?」といわれるけれど、残念ながらそういうソフトが出るのは100年以上先になりそうなるんじゃないかと。そこそこのものはできると思う。ただ、それは今すでに出ているソフトの領域は超えないだろうと思う。なぜかというと、誰でも簡単に高度なコーディングができるソフトというのはコーディングをしてみればわかるが、ありえない。コーディングの処理で一番難しいのは命令をいくつか組み合わせて検証して目的の動作にいたることだか、そこにはアイデアがいる。そしてそのアイデアはコードの組み合わせで無限大に存在している。それをすべてカバーするソフトを開発するのは馬鹿げている上、結局、命令の使い方を覚えなければならない点において、素手で作るのと何の変わりもない。命令をコピーして順番どおりに打ち込むだけのソフトなんて不必要なもの誰も作らない。中途半端にある動作アイデアだけを詰め込んだソフトは限界を規定するだけだからプロは使わないだろうし。あって便利なのはリンクの整理ソフトとかリキッドレイアウトソフトぐらいか。。。プログレッションってそうだけどね。すでに。
ウェブコーディングにおいて知恵の領域が計算処理ソフトによって侵されることは当分ないと思う。

ということは、岡康道さんと吉田望さんの言う“ウェブはシステム屋の感覚でうごいている”状態が当分続いてしまうということになる。広告業界とシステム屋の摩擦って始末悪そう。広告とウェブ両方わかる人がでてこないと駄目ってことでしょ?すでに出てきてるけど純粋に広告屋じゃないというか、ウェブ自体、広告媒体としてどうやって扱っていこうかって開発途上中。一瞬でリンクでとばれちゃうからグラフィックに近いことになっていくとは思うけど。ツイッターとか使ってちょっと手の込んだコミュニケーション試みているが効果はどんなものなのかと思うし。
とりあえず他のメディアで言い切れなかったら、とりあえずウェブにつめこんどきますってクライアントの説得の仕方はやめてくれ。ウェブが広告メディアになれなくなる。
でも、お金のないクライアントにとっては頼みの綱みたいなメディアじゃない?やはり広告業界におけるウェブの活路はマイノリティからの発信にある気がする。

はなしは戻って

日本の広告業界が異常な労働時間なのは知能産業という自覚に欠けているからなのかもと思った。まっとうな知恵を提供していたらもっと堂々とクライアントと話せるはず。「それは御社のためになりませんよ」って。自分たちのソリューション(製品)に自信があってスケジュールがしっかりたてられていたら直前になってクライアントが怖がって案を無難と思われるものに変えたりしたせいで徹夜作業とかそういうのなくなるだろうし。

大きなところはそこだけどまずは身の回りから。
自分の領土は自分で守るのだ。
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