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祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり・・・・

「生」とは常に変わっていくことで「死」は全てがとまること。作品の中で描かれる死の世界というのが面白い。とても哲学的。傷つきたくないなら、「こうしたい」と思わなければよい、動かなければよい、望まなければよい、でもそうして完全に全てのものの変化を拒絶したらその世界は死であると。

強さとは自分の弱さを知ること、受け入れること。自分に、弱くて凶暴な本来受け入れがたい部分があることを認識することである。何かに躓いたときほどそれは鮮明に現れる。それが作品の一巻で語られる内容である。悟りを開いたものにのみ、魔法は使えるのである。

この魔法の概念も面白い。全ては本当の名前を知ることに始る。つまり、彼らは研究者でものごとの本質を捉えることができればそのものを支配することができるというのだ。変身の技も面白い。変身してそのまま自分を見失えば変身をとくことができなくなってしまう。このあたりの設定は哲学的で面白い。

二巻ではテナーと暗闇の戦いがあり、三巻ではレバンネンが己の弱さと世界の闇を知る旅に出る。

レバンネンの持つ黄泉の国の石が虚無でひりひりするのに後生大事にしている理由、彼がそれをいつも持ち歩くのは彼が王として道を誤らないよう、自分の心に虚無と人間の弱さ・脆さを覚えておくためだ。

恐怖は意思で克服できる。まるで宗教思想のようである。
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