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やっと読み終えた。
正直、途中でつまらなくなって読むのをやめようかと思ったけれど、薩長同盟あたりから面白くなりだして最後は一気。
あとがきで竜馬が有名になった経緯を書いているが、何気にこの小説こそ、坂本竜馬を有名にしたきっかけのような気が・・・・。自分の好きなものを好きなだけ探求し、その魅力を世間にあますことなくアピールし、世間もそれを受け入れた。物書きとしてこれ以上の成功があろうか。


●無血革命
実は私は日本史というものをほとんど勉強していない。
世界史は普通の高校生よりかなり真面目に勉強したし、欧米の歴史物の映画のために資料を読み込んでいたので教科書+αの知識もあるほうだと思うし、大体の流れはつかんでいる。
小学校でも中学校でも日本史が嫌いで勉強できなかった。普通はカタカナの名前を覚えることが苦手らしいが、子供の頃から映画(洋画に限る)漬けで育った私は日本人の名前、漢字のほうが覚えにくい。何より、日本史には興味を持つきっかけがなかった。

両親はどちらかといえば左。祖母はその時代に育った人間なのでもちろん右寄りといってよい。双方さほど極端ではないけれど、かこまれて育った私は日本史に対して良い印象をまったく受けていなかった。

祖母から聞く戦争の話。大人たちから聞く、戦争の話。
「日本は負けてよかった」とか「政府がバカだった」とか、そんな印象ばかり。あまり楽しい話ではない。

対し左側。
「日本は失敗した」、「アメリカの犬」「くだらない国」。そんなことばっかり聞かされた気がする。

何より、この国には魅力的な女傑がいなかったから、なおさら興味の外になってしまった。
イギリスにはエリザベスやヴィクトリア、オーストリアにはマリア・テレジア、ロシアのエカテリーナ・・・・フランスの聖女(軍人?)ジャンヌ・ダルク、エジプトのクレオパトラ、ネフェルティティ、中国の西太后、世界史では女が活躍していてその功績は男にも勝る。明らかにただものではなさそうなあたりが面白い。

だけど、世界史は、勉強すればするほどに、その血なまぐささが肌で感じられるようになった。よく、「歴史の教科書は行間をよめ」とかいう人がいるけれど、それは血なまぐさすぎて高校生のある時期完全に失望していた。
今はもう、歴史や世界のリーダーに対して妙な理想の持ち方をしていないからそういう感じ方をしなくなったけれど。

日本には神風が吹いた。そうとしか考えられないような奇跡がこの国にはおきたのだ。

日本は無血革命を遂げた世界でも稀な国。
革命がもし、欧米のそれのように混乱のなすがままに起こっていたら、日本はきっと西洋各国の思うツボだった。革命成功しようとも、無血でなければ同じように国力がなくなり統一国家としての強さもなく、分断され西洋の王に統治され植民地となっていただろう。薩長同盟、大政奉還・・・・そのどの段階の綱渡りですべっていても日本は植民地にされていたのである。
日本は西洋に植民地化されなかった数少ないアジアの一国である。その理由を私は四方を海に囲まれているからだと安易に思っていたが、よくよく思えばフィリピンやインドネシア、フィジーなんかも海にかこまれている。決してその地理的条件だけが原因ではないはずなのだ。

「神風」というと右翼的な印象が強く、現実的ではないし、私自身、信じる神様などいないが、坂本竜馬というまれな才能にめぐまれた人間があの時代、あの場所に生まれ、ことを為せた奇跡を思うと、神風が吹いたとしか思えないのだ。
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